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10大ニュース(国内)
順位2009年2010年2011年
1位 衆院選で民主党圧勝。政権交代で鳩山政権誕生 尖閣諸島で中国漁船が巡視船に衝突。ビデオ流出騒ぎも 東日本大震災と東電福島第1原発事故
8月30日投票の衆院選で、民主党が308議席の大勝。自民党は119議席という歴史的大敗を喫し初の第2党に転落した。 9月16日の特別国会で鳩山由紀夫民主党代表が第93代首相に選出され、民主党、社民党、国民新党の連立内閣が発足。 「政権交代」は流行語にもなった。 沖縄県・尖閣諸島周辺の日本領海内で9月、中国漁船が海上保安部の巡視船に衝突、中国人船長が逮捕された。 中国は日本人会社員4人を拘束、レアアース(希土類)の対日輸出を事実上停止、日中首脳会談を拒否するなど関係は悪化。 那覇地検は処分保留のまま船長を釈放したが、政治介入との批判も高まった。 衝突時のビデオ映像は衆参予算委の理事に限定公開されたが、その後、神戸海上保安部の海上保安官が映像をインターネットの動画サイトに投稿。 参院では仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国土交通相の問責決議が野党の多数で可決された。 3月11日午後2時46分、宮城県沖約130キロを震源とした地震が発生。震度7、マグニチュード(M)9・0と日本の観測史上最大規模で、東日本大震災と名付けられた。死者・行方不明者は大津波に襲われた岩手、宮城、福島、茨城、千葉各県の沿岸部を中心に約2万人を数えた。  被害額は16兆9千億円で阪神大震災の1・8倍。政府は5年間の集中復興期間で19兆円が必要と想定する。だが初代復興対策担当相が暴言で辞任するなどの政治の不手際や、復興財源に充てる増税の調整にも手間取ったことから、復旧・復興は遅れ気味だ。  震災に伴い東京電力福島第1原発では全電源が失われて原子炉が冷却できなくなりメルトダウン(炉心溶融)が起きた。  さらに水素爆発で大量の放射性セシウムが大気中に放出され、東日本の各地で検出された。国際評価尺度ではチェルノブイリ原発事故と同じ最悪のレベル7と判定されたが、12月には野田佳彦首相が「原子炉は冷温停止状態に達し、事故そのものが収束した」と宣言した。
2位 裁判員裁判がスタート 参院選挙で民主党が大敗。ねじれ国会に 菅首相が居座りの末退陣、ドジョウ野田内閣誕生
有権者が重大な刑事事件の公判に加わり、有罪無罪や量刑を考える裁判員裁判がスタートした。 8月に東京地裁での最初のケースの後、順次各地の地裁で行われた。 1943年の陪審制度停止以来、66年ぶりに法廷審理の場に市民が並んだ。 7月の参院選で民主党が44議席で大敗。自民党は51議席で改選第1党、みんなの党が躍進し10議席を獲得。 民主、国民新の連立与党は非改選議席を含めて参院の過半数を割り込み、衆参両院で多数派が異なるねじれ国会に。 菅直人首相が唐突に消費税率引き上げに言及したことが有権者の反発を招いた。 6月の民主党代議士会で菅直人首相は「一定のめどがついた段階で若い世代に引き継ぎたい」と辞意表明後、3カ月も居座り8月末に退陣した。後任の野田 首相は「ドジョウらしく泥くさく政治を前進させる」。
3位 新型インフルエンザが大流行、死者も増加 厚労省元局長に無罪判決。特捜検事らを証拠偽造で逮捕 サッカー女子W杯、なでしこジャパン世界一
5月に大阪府の男子高校生らが成田空港での検疫で初の国内の感染者と確認され、8月に沖縄県の男性感染者が初めて国内で死亡。 12月には死者が100人を超え、休校や学年、学級閉鎖の教育関連施設も相次いだ。 大阪地裁は9月、郵便制度悪用に絡んで虚偽有印公文書作成・同行使の罪に問われた元厚生労働省局長村木厚子被告に無罪を言い渡し、確定した。 最高検は事件を担当していた大阪地検特捜部の主任検事がデータを改ざんしたとして証拠隠滅容疑で逮捕。上司の前特捜部長らも逮捕され、検察への信頼が地に落ちた。 写真:厚労省文書偽造事件の判決で、大阪地裁に入る大阪地検特捜部の前田恒彦主任検事。 この後9月21日に証拠隠滅容疑で逮捕された=9月10日 7月にドイツで行われたサッカーの第6回女子ワールドカップ(W杯)で日本代表「なでしこジャパン」が米国を破って初優勝。欧米勢以外での初制覇で、チームには国民栄誉賞、紫綬褒章が贈られた。
4位 円高。デフレ宣言。日航経営危機など企業業績悪化 普天間移設で日米合意。迷走の鳩山内閣は辞職し菅内閣誕生 円が戦後最高値を更新、円売り介入、輸出産業苦境に
トヨタ自動車が歴史的な赤字、経営難に陥った日本航空が政府管理下で再建を目指すなど大手企業の経営不振が相次いだ。 円高に加え、11月には政府がデフレ宣言。需要の低迷、景気悪化の長期化を懸念する声も。 鳩山由紀夫首相が6月に退陣した。 首相が「最低でも県外」と表明していた米軍普天間飛行場(沖縄県)の移設先は迷走を続けた末に名護市辺野古周辺で日米両政府が合意。 しかし社民党の連立政権離脱を招き、自らの「政治とカネ」の責任も取った。 後継の首相に菅直人副総理・財務相が指名された。 震災直後、約16年ぶりに戦後最高値を更新、円売り協調介入で85円台まで戻したが、欧州危機が深刻化した10月末には1ドル=75円32銭と再び更新した。政府は単独介入したが超円高は常態化し、輸出産業に影響が。
5位 事業仕分け、八ツ場ダム中止など新政権の政策続々と 宮崎県で口蹄疫の被害が拡大。全国を震撼 野田首相がTPP交渉参加を表明
与党議員と民間有識者らが「仕分け人」となり、来年度予算要求に盛り込まれた事業を質疑、討論して「廃止」「予算削減」「見直し」などと判定する「事業仕分け」が注目を浴びた。 税金の使われ方の過程が見え、おおむね好評だった。八ツ場ダム中止、羽田空港の国際拠点(ハブ)空港化などの政策提案も話題に。 家畜伝染病の口蹄疫が4月、宮崎県で確認され、感染は5市6町に拡大。 政府は発生地から半径10キロ圏内で感染した牛や豚のほか、感染していないすべての牛や豚もワクチン投与した上で殺処分した。 約29万頭が対象となった。 貿易やサービスの自由化を図る環太平洋連携協定(TPP)交渉へ参加する方針を野田首相が11月に表明、オバマ米大統領に伝えた。アジアの経済成長を取り込む狙いだが、農業団体を中心に反対の声が強い。
6位 年越し派遣村に多くの人。失業率最悪レベルと雇用不安 観測史上最高の猛暑。熱中症多発で死者も 東電が初の計画停電、夏は15%節電
派遣切りなどにあった人を支援する「年越し派遣村」(東京・日比谷公園)に、昨年の大みそかから年明けにかけ数百人が集まり、厚労省が講堂を開放するなど大きな動きに。 失業率も7月時点で過去最悪の5・7%を記録。雇用状況の厳しさはなお続いている。 猛暑が全国を襲った。気象庁によると、6〜8月の平均気温は統計を取り始めた1898年以降で最高だった。9月も記録的な残暑となった。 熱中症で救急搬送された人は7月が前年同月の3倍、8月が4倍と急増、死亡者も相次いだ。 農産物の生育にも影響が出て野菜は値上がり。「今年の漢字」には「暑」が選ばれた。 電力不足で東電は震災直後から、地域ごとに交代で電気を止める「計画停電」を初実施。7月には東電と東北電力管内で約37年ぶりの電力使用制限令が発動され、大企業は15%削減を強制された。自動車メーカーが輪番休業するなど影響も。
7位 足利事件でDNA不一致の菅家さん釈放、再審開始 小惑星イトカワから「はやぶさ」が帰還 政府要請で浜岡原発停止、九電ではやらせメール問題
1990年、栃木県足利市で当時4歳の保育園児が殺害された事件で、無期懲役となり服役中だった菅家利和さんのDNAの型が、東京高裁での再鑑定の結果、事件で残されたものと不一致と判明。菅家さんは釈放され、6月に再審開始が決定、10月に宇都宮地裁で再審が始まった。 他事件のDNA型鑑定への疑問や取り調べ可視化を求める意見も出た。 小惑星探査機「はやぶさ」が6月、7年ぶりに地球に帰還、イトカワの微粒子が回収された。 月以外の天体との往復は世界初の快挙。予定から3年遅れの帰還で約60億キロの長旅だった。 大気圏突入時に燃え尽きる機体本体の映像が感動を呼んだ。 5月に菅首相が東海地震の震源域にある浜岡原発(静岡県)の全原子炉の運転停止を要請、中部電力も受け入れた。6月には玄海原発(佐賀県)の運転再開に向け、九州電力が国主催の説明番組に賛成意見を投稿するよう子会社などにメールで呼び掛けたことが発覚、社長の進退問題に。
8位 WBCで日本が連覇。イチロー、松井秀もメジャーで活躍 所在不明の高齢者が続々と判明。「無縁社会」も深刻に 大阪ダブル選で橋下氏、愛知トリプル選で河村氏側完勝
野球の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝で日本が韓国を破り2連覇。 米大リーグではマリナーズのイチロー選手が日米通算で、張本勲氏の3085安打の日本プロ野球記録を上回る最多安打を記録。 大リーグ史上初の9年連続200安打も達成した。 ヤンキースの松井秀喜選手がワールドシリーズで日本人初の最優秀選手(MVP)となるなど、日本人野球選手の活躍が目立った。 松井選手はエンゼルスに移籍が決まった。 東京都足立区で戸籍上111歳の男性の遺体が7月に見つかったのを契機に、全国で所在確認調査が実施され、戸籍上は生きているのに「所在不明」となっている高齢者がいることが次々と分かった。 家族や地域との絆が失われ、孤立化が進んでいる現代社会を取材したNHKの番組「無縁社会」も反響を呼び、流行語にも選ばれた。 11月の大阪市長選で「大阪維新の会」代表で府知事を辞め出馬した橋下徹氏が圧勝、知事選も同会幹事長の元府議が当選した。2月の名古屋市長選では「減税日本」公認の河村たかし氏が大差で再選され、愛知県知事選は連携する前衆院議員大村秀章氏が初当選。住民投票で解散した市議会の出直し選では第1党に。
9位 核持ち込みなどの外交密約で元次官らの証言、相次ぐ ノーベル化学賞に根岸英一、鈴木章両氏 小沢民主党元代表を強制起訴、元秘書3人は有罪
1960年の日米安全保障条約改定の際、核兵器を積んだ米軍の艦船や航空機の日本立ち寄りを黙認することで合意した「核持ち込み」に関する密約があったことを元外務事務次官らが証言。 麻生政権は密約を否定したが、政権交代後、外務省は密約の存在を認める方向で第三者の有識者会議を開いて精査中。岡田外相は来年1月に調査結果を公表すると表明。 根岸英一米パデュー大特別教授と鈴木章北海道大名誉教授がノーベル化学賞を受賞した。 2種類の有機化合物を結び付ける「クロスカップリング」の新しい方法を開発した業績が認められた。 化学賞を日本人が受賞したのは7人、ほかの賞も合わせ計18人。 小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の収支報告書虚偽記入事件で検察官役の指定弁護士は1月、政治資金規正法違反の罪に問われた元秘書3人と共謀したとして小沢元代表を強制起訴。元代表は10月の初公判で全面無罪を主張した。元秘書3人には9月に有罪判決。
10位 地方の高速道路が土日祝日、千円で乗り放題 15年ぶりの円高水準。政府は市場介入 八百長問題で大相撲春場所中止、25人が角界追放
自動料金収受システム(ETC)を利用すると、地方圏で高速道路が土日祝日、上限千円で乗り放題となる割引が3月スタート。 大型連休を中心に家族連れのマイカーでにぎわった。 民主党もマニフェストで高速道路無料化を打ち出したが、検討段階だ。 米国の金融緩和や経済減速を背景に今夏から円高ドル安が急速に進み、円は1ドル=80円突破寸前まで買われた。 政府は9月に円売りドル買いの市場介入を6年半ぶりに実施。 円高はデフレ圧力となる上、国内製造業の海外移転が進むことから、雇用悪化も懸念される。 現役関取らによる「八百長メール」が2月に発覚。日本相撲協会は3月の春場所を中止、八百長に関与したとして力士、親方ら25人を引退勧告などの処分で追放した。
10大ニュース(海外)
順位2009年2010年2011年
1位 オバマ米新政権スタート。「核なき世界」でノーベル平和賞 北朝鮮の韓国砲撃などで朝鮮半島緊迫 北朝鮮の金正日総書記が急死、世界に波紋
バラク・オバマ氏が1月20日、第44代米大統領に就任し、民主党新政権がスタート。 大統領はプラハでの「核なき世界」演説、ミサイル防衛(MD)施設の東欧配備撤回など軍縮問題で新機軸を打ち出し、ノーベル平和賞を受賞した。 韓国海軍の哨戒艦が3月、黄海で沈没し、兵士46人が死亡・行方不明。韓国は北朝鮮魚雷が原因と発表。 北朝鮮軍は11月、韓国・延坪島(ヨンピョンド)を砲撃し、韓国軍と砲撃戦に。韓国側は民間人2人と兵士2人が死亡、19人が重軽傷を負った。 砲撃戦直後には双方から戦闘機が出撃し、島民の多くが韓国本土に避難。北朝鮮による民間人被害を伴う陸地砲撃は1953年の朝鮮戦争休戦以来初めて。 北朝鮮の最高指導者、金正日総書記=朝鮮人民軍最高司令官=が12月17日、死去した。69歳。急性心筋梗塞とされた。1948年の建国以来同国を率いた父親の金日成主席=94年死去=から権力を継承し、2代にわたり北朝鮮を統治した。正日氏の三男、金正恩氏(28)を中心とした後継体制が混乱なくスタートできるか、同国の核兵器・ミサイル開発や拉致問題がどうなるかが焦点となった。
2位 米自動車大手GM、クライスラーが経営破綻(はたん) チリ鉱山落盤事故。69日ぶり作業員33人全員を救助 欧州の財政危機拡大、政権交代相次ぐ
クライスラーとゼネラル・モーターズ(GM)が相次ぎ破綻。GMの負債は米製造業最大の16・4兆円。 その後「新生クライスラー」「新生GM」が発足したが、GMでは傘下企業の売却撤回、社長辞任など混乱が続いた。 チリ北部コピアポ郊外のサンホセ鉱山で8月5日に落盤事故が起き、作業員33人が地下約700メートルに閉じ込められた。 チリ政府は食料などを地下に送るとともに救出用縦穴の掘削を進め、救出用に作ったカプセル「フェニックス(不死鳥)」を使用し10月12〜13日の作業で全員を救出した。 2009年にギリシャで表面化した欧州の財政危機はアイルランド、ポルトガル、スペイン、イタリアなどに拡大。11月にイタリアのベルルスコーニ首相が辞任するなど、各国で政権交代が相次いだ。12月の欧州連合(EU)首脳会議では財政協定の創設や、国際通貨基金(IMF)に最大2千億ユーロ(約20兆7千億円)を拠出し、危機対応に充てることで合意した。
3位 北朝鮮が6カ国協議を離脱、核実験。米朝関係に動きも 北朝鮮の指導者金正日総書記の後継者に三男、金正恩氏 中東に民主化の波、カダフィ大佐死亡
北朝鮮が4月、国連安保理議長のミサイル発射非難声明に反発して6カ国協議を離脱。 5月には2006年に続き2度目の地下核実験を行った。 クリントン元米大統領が8月、訪朝し金正日総書記と会談。 不法入国などの罪で拘束されていた米記者2人の特別恩赦を実現した。 12月には米国のボズワース北朝鮮担当特別代表が訪朝した。 正恩氏は9月27日、朝鮮人民軍大将の称号を与えられた。同28日に開かれた朝鮮労働党代表者会で党中央委員に選ばれ、党中央軍事委員会副委員長に就任、後継者に決まった。 母親は日本から帰国した高英姫(コ・ヨンヒ)夫人(2004年死去)。祖父の故金日成(キム・イルソン)主席の若いころによく似た顔立ち 1月のチュニジアの政変をきっかけに民主化要求運動「アラブの春」が中東全域に広がった。チュニジアでは強権的なベンアリ政権が崩壊。エジプトではムバラク政権が倒れ、国会選挙を実施した。リビアでは10月、最高指導者カダフィ大佐が反体制派との戦闘で死亡。反カダフィ派が全土を制圧した。シリアのアサド政権は反体制デモの弾圧を続け、死者は5千人を超えた。
4位 アフガンの治安、さらに悪化。米が軍隊の増派含む新戦略 中国の国内総生産(GDP)、日本を抜き世界2位の経済大国に 米特殊部隊がビンラディン容疑者を殺害
アフガニスタンでタリバン政権崩壊後2度目となる大統領選挙が行われ、対立候補の決選投票不出馬でカルザイ大統領再選。 選挙期間中、タリバンによる攻撃が各地で相次いだ。首都カブールで10月、国連関連施設が襲撃され外国人職員ら多数が死傷。 オバマ大統領は12月、米軍3万人増派、11年7月の撤退開始を目指すとの新戦略発表。 中国のGDPは07年まで5年連続で2けた成長を記録。金融危機の影響を受けたが、08〜09年も9%を超える成長率を維持。 10年の成長率は9・9%(中国社会科学院)と予想され、通年で、米国に次ぐ経済大国になるのは確実。 ただ、バブル懸念も強まっており、中国政府はインフレ抑制に躍起だ。 米特殊部隊は5月、パキスタンの首都イスラマバード郊外で、国際テロ組織アルカイダの指導者ウサマ・ビンラディン容疑者の隠れ家を急襲し、同容疑者を殺害した。米国は01年の米中枢同時テロの首謀者として行方を追っていた。
5位 イラク多国籍軍に幕。米軍戦闘部隊が都市部から撤退 欧州の財政危機。ギリシャからアイルランドに波及 タイで大洪水、日本企業が操業停止
イラクと米国の地位協定が1月1日発効し、6月には米軍戦闘部隊が都市部から撤退。 米軍以外の多国籍軍参加部隊が7月中に撤退し、航空自衛隊を含め最大時には約40カ国、28万人が参加した有志連合が消滅した。 ギリシャの財政危機に始まり、アイルランドやポルトガル、スペインなど財政難に苦しむユーロ導入国の国債価格が下落し、ユーロの信認を揺るがした。 欧州連合(EU)はギリシャ救済を決めたが、不動産バブルの崩壊や金融危機に直撃されたアイルランドへの連鎖を防げなかった。 7月から続いた大雨の影響で、タイ各地で大規模な洪水が発生した。10月には日系企業も多く入居するアユタヤ県やパトゥムタニ県の工業団地が浸水。自動車・電子機器メーカーに部品を供給する企業の工場が11月中旬まで操業を停止した。生産や販売への影響が世界に広がった。
6位 歌手のマイケル・ジャクソンさん急死。映画は大ヒット 中国の民主活動家、劉暁波氏にノーベル平和賞 東電福島第1原発事故で欧州に脱原発の動き
「キング・オブ・ポップス」といわれた米歌手マイケル・ジャクソンさんが6月25日、麻酔薬による急性中毒と鎮静剤の投与が原因で死去。50歳。 専属医が過失致死容疑で取り調べを受けた。 没後、世界中でCDなどが爆発的に売れ、死の直前のリハーサル映像をつづった映画も大ヒット。 劉氏は1989年の天安門事件の際の民主化運動に参加。 2008年12月、共産党による一党独裁体制の廃止を呼び掛ける「〇八憲章」を発表して拘束され、国家政権転覆扇動罪で懲役11年の判決を受けて服役中。 10年12月にノルウェー・オスロで授賞式が行われたが、中国政府は劉氏や妻の出席を認めず、74年ぶりに本人、家族ともに不在の式典に。 劉氏の受賞は中国の民主化運動への励ましとなったが、中国政府は活動家への監視や取り締まりを強めた。 スイスは5月、東京電力福島第1原発事故を受け、34年までに既存の原子炉5基を停止させる脱原発の政策を決めた。ドイツ政府も6月、従来のエネルギー政策を転換し、22年までに国内原発17基を全て停止する改正原子力法案などを閣議決定した。福島原発事故後、主要国(G8)での脱原発決定は初めて。イタリアでも6月の国民投票で、原発再開にストップがかかった。
7位 中国が建国60周年。ウイグルで暴動。経済は8%成長 米中間選挙で与党、民主党が敗北 米国で反格差デモ、世界へ拡大
建国60周年を迎えた中国の今年の国内総生産(GDP)成長率が世銀予測で8・4%と8%台を維持。11月、アジア歴訪のオバマ米大統領が胡錦濤国家主席と北京で会談。 地球規模での協力強化をうたった共同声明を発表し、G2(二大国)論に現実味が出てきた。 新疆ウイグル自治区では7月、ウイグル族と漢族の対立が、死者150人超、負傷者約千人の大規模暴動に発展した。 下院(定数435)のうち、共和党242、民主党193となり、民主党は4年ぶりに過半数を割り込んだ。 選挙はオバマ大統領への信任投票、12年次期大統領選の前哨戦とみなされる。 景気低迷による高い失業率、財政赤字、医療保険改革への批判から、与党が票を減らした。 草の根の保守派運動ティーパーティー(茶会)が共和党支持で力を示した。 9月、米ニューヨークで無職の若者や労働組合員、非政府組織(NGO)メンバーらが貧富の差の広がりに反対する「反格差デモ」を始めた。代表的な金融機関が集中するウォール街近くの公園に寝泊まりし、少数の富裕層への反発を示した。10月の世界一斉行動日には、東京などアジアや欧州にも波及した。
8位 金融サミット相次ぎ開催。「ドバイ・ショック」で為替など激動 通貨安競争が激化。先進国と新興国が対立 ニュージーランド地震で日本人28人死亡
第2回と第3回の20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)開催。 米ピッツバーグの第3回会合では金融サミットを国際経済協議の中心的な場として定例化することで合意。 G20が主要8カ国(G8)サミットに代わる世界経済運営の新たな枠組みとなった。 中東の金融センターとして急成長したドバイで11月、政府系持ち株会社の経営危機が表面化、世界で為替、株価が激動した。 各国は輸出振興のため通貨切り下げを競った。 米国は巨額の貿易黒字を持つ中国に人民元切り上げを迫り、米国の金融緩和については、ドル安容認と新興国から批判が集中した。 11月、日米欧と新興国の20カ国・地域(G20)首脳会合は、切り下げ競争を回避する方針を確認した。 ニュージーランド南島クライストチャーチ市付近で2月、マグニチュード(M)6・3の直下型地震が発生。市中心部のビルが倒壊し、留学中の日本人28人を含む180人余りが死亡した。
9位 2016年夏季五輪のリオ開催決まる。東京は落選 メキシコ湾の油井事故で原油が大量流出 米アップル創業者ジョブズ氏が死去
国際オリンピック委員会(IOC)総会は、16年夏季五輪のリオデジャネイロ(ブラジル)開催を決めた。 南米での五輪開催は初。52年ぶりの開催を目指した東京は2回目の投票で落選した。 米南部ルイジアナ州沖のメキシコ湾の石油掘削基地が4月20日に爆発、海底の油井から大量の原油が流出し、海を汚染した。 オバマ大統領は米史上「最悪の環境災害」と指摘。 流出阻止作業は難航、事故を起こした英石油大手BPは油井に「密閉ぶた」を装着、流出は7月半ばほぼ止まった。 米電子機器大手アップルの共同創業者で前最高経営責任者(CEO)のスティーブ・ジョブズ氏が10月、56歳で死去した。一時アップルを離れたが、1997年にトップに復帰。多機能携帯電話や多機能端末などで次々と革新的な製品を生み出し、経営不振だったアップルを世界最大のIT企業に導いた。2004年に膵臓(すいぞう)がんを治療していた。
10位 EU新基本条約が発効。新「大統領」にベルギー首相 中国の次期最高指導者に習近平氏 中国高速鉄道で追突事故、40人死亡
欧州連合(EU)の新基本条約が、アイルランドの再国民投票による批准可決と、チェコ憲法裁判所による合憲判決を受けた同国の批准で、予定より1年遅れで発効。 臨時首脳会議は新条約に基づく「大統領」(首脳会議の常任議長)に、ベルギーのファンロンパイ首相を選んだ。 10月の共産党中央委員会総会決定で、党内序列6位の政治局常務委員で国家副主席の習氏が中央軍事委員会副主席に就任。 胡錦濤国家主席の後継者に確定した。 53年6月生まれ。副首相を務めた父親は改革派とされ、中国国内には政治体制改革推進への期待感もあるが、手腕や開明度は分からない。 中国浙江省温州市で7月、北京発の列車が、前を徐行していた同省杭州発の列車に追突、前4両が高架から落下して40人が死亡、約190人が負傷した。自動列車制御装置の不具合が原因とみられている。事故後はメディアやネットで鉄道省批判の声が沸き上がったが、中国政府は強権的な手法で、こうした世論を封じ込めた。

選考の手順
 2010年の十大ニュースは次のような手順で選ばれました。
 共同通信の政治、外信、社会など編集関係の各部が、専門分野を中心に大きなニュースを提案し、編集委員室が国内、国際の各29項目を候補にまとめた。
 投票したのは共同通信に加盟する全国の新聞社の編集、論説の責任者、ラジオ・テレビ局の報道担当者、共同の支局長や編集関係部長ら、日ごろニュースを判断し続けている約240人。
 1位から10位まで順位を付けて投票し、その結果に基づいて決定した。・・・「一般社団法人共同通信社まとめ」・・・