戻る

原子力の再稼働 妥当性ない「ストレステストは言い訳」

2011/1/15某新聞より)

ブルガリア原子力安全庁の元長官で、欧州連合(EU)加盟国の原発の安全評価(ストレステスト)の議論に加わったゲオルギ・カスチエフ氏(62)が本誌の取材に応じ「ストレステストは、国民の(原発に対する)批判をかわすための言い訳にすぎない」と指摘した。

 

日本政府は、欧州の制度を取り入れることで、原発の再稼働に理解を求めようとしているが、本場の欧州で実際にストレステストに関わった人から強い疑念が出された。

 

原子力物理の専門家で、東京工業大で客分教授を務めたこともあるカスチエフ氏はまず、EU加盟国のストレステストが福島第一原発事故以前と同じ事業者や専門家によってなされていることを問題視。「今まで(安全)と判断してきた人が再び評価した所で、結果は同

じだ。その結果を誰が信じるだろうか」と述べた。

 

テストの方法も「新しい研究成果をテストに適用する時間はなく、これまでと同じ基準で審査することに成る」とし、基準が必ずしも最良ではないと指摘。審査にかける期間が短すぎるはか、事業者による報告書が非公開であることも批判した。

 

批判は日本の状況にも及んだ。日本政府が、原発を稼働させ続ける条件として、ストレステスト合格を打ち出したことに「妥当性がないテストを行う意味は、国民の批判をかわして言い訳にするためだ」と言明。

 

テストの担い手や基準の問題が「日本でも(EUと)ほぼ同じ問題が当てはまる」とも述べた。

 

日本では、国内でのテストが終わった後、国際原子力機関(IAEA)の助力も得ることに成っている。カスチエフ氏は「IAEAは原子力の推進と規制が同居する矛盾した組織だ」とした上で「例年、十〜二十程度の原発の評価を数ヶ月かけてする。国内の四十数基の評価にはどのくらいかかるのか」と、正しい評価には長期間かかると述べた。

 

みんなは原発の安全性をどう思っているんだろう?