自民党の支離滅裂と右往左往に見る 小沢一郎の巨大存在感

 アタマは大丈夫か、自民党は――。小沢無罪判決に驚いて、谷垣総裁と石原幹事長が「徹底して説明責任を求めていく」などと証人喚問を要求していたが、今後の戦略があるのか。

 ある古参議員が笑う。

「ウチは野田政権を追い詰めて、早期解散にもっていくのが戦略。どこかで内閣不信任案を出すことになるが、その場合、小沢グループの力を借りないと数が足りない。解散に追い込めない。それなのに小沢が嫌がる喚問を要求してどうするの?」

 自己矛盾というか、支離滅裂だ。

 かといって、小沢の復権を見過ごすわけにもいかないのが自民党だ。26日、自民党最後の首相・麻生がテレビで口をひん曲げて小沢を批判していた。これに象徴されるように、自民党は小沢が怖くてしょうがない。自民党組織をズタズタにし政権交代の土台をこしらえた小沢の腕力、知恵が脅威なのだ。菅や野田政権のレベルなら、どうにでも揺さぶれるが、小沢が復権して民主党をまとめてしまったら逆に手を突っ込まれ、次の政権交代も遠のく。それで民主党内で小沢を孤立させ、野田に小沢切りさせようという魂胆である。だが、野田が無罪の小沢を切れるワケはないし、証人喚問要求で突っ張っていたら、時間だけがダラダラ過ぎていき、何の手も打てなくなってしまう。

 小沢無罪によって完全に手詰まりに陥った自民党。小沢の巨大な存在感だけが際立つのだ。

2012427日掲載)