金環日食
2012年5月22日
太陽の中心部が月に隠され、周囲が金の輪のように輝く金環日食が21日朝、九州南部から福島県南東部にかけての太平洋側で観測できる。
観測が可能な地域に、日本の人口の3分の2が住む。これほど広範囲で観測できるのは、平安時代以来932年(西暦1080年)ぶりという。
日本では18年後にも金環日食が観測できる。だが、北海道だけと範囲は狭い。天空のドラマを楽しむ貴重な機会だ。堪能したい。
午前6時台から太陽の右上がかけ始め、同7時半ごろには、金色のリング状になる。この状態が最大5分間ほど続く。
月と太陽の端が重なる瞬間も見逃せない。すき間から太陽光が漏れ出し数珠状に輝く。「ベイリービーズ」と呼ばれる現象だ。
各地で観望会などが予定されている。だが、通勤通学の時間帯でもある。歩きながら空を見上げて転んだり、自動車運転中に事故を起こしたりするのは禁物だ。
太陽の直視も避けよう。目を痛めかねない。網膜が傷つくと視野の中に黒い斑点が見えたり、物がゆがんで見えたりする。1週間程度で回復する例が多いが、時に症状が長期化するので要注意だ。
観測専用めがねが販売されている。紙に小さな穴を開けて太陽光を通し、映し出された像を見るピンホール法もある。木漏れ日でも欠けた太陽が地面に映る。
国立天文台など専門機関がインターネットで観測法を紹介している。参考になるだろう。
研究者にも絶好の機会だ。
金環日食が見える範囲を精密に記録し、太陽の大きさを従来よりも正確に測定しようという研究プロジェクトも進められている。
太陽は巨大なガスの塊だ。このガスが反応しエネルギーが生まれる。大きさがもっと正確に分かれば、エネルギーが発生する仕組みを、より詳しく理解できよう。
今、太陽は世界の専門家の関心の的でもある。異変が起きているためだ。約200年前、地球が寒冷化していた時代と似た、活動の低い状態にあるという。
世界各国の研究に加え、日本の太陽観測衛星「ひので」が宇宙で得たデータも、太陽活動の一層の低下を示唆している。再び地球が寒冷化する兆候だろうか。
太陽を研究する意義は増している。ところが、すでに寿命を超えている「ひので」の後継機は、政府内で検討もされず、太陽関連の研究予算も減る一方だ。
金環日食は、太陽と月、地球が一直線上に並んだときに起きる現象だ。
月が地球と太陽の間を横切り、太陽の中心部を隠す。世界で1年に1回程度起きる。
太陽の直径は月の約400倍だが、地球から太陽までの距離も月までの距離の約400倍。この偶然の一致のため、地球から見た太陽と月の大きさはほぼ等しいが、月は地球の周囲を楕円(だえん)軌道で回っているため、地球から月までの距離が1割程度変化する。月が近い時には約36万キロ・メートル、遠い時には約40万キロ・メートルだ。
近い時には太陽全体を隠す皆既日食となるが、遠い時には見かけ上の月は小さくなり、太陽全体を隠し切れなくなる。これが金環日食だ。今回は月が非常に遠く離れた時に起きたため、太めのリングになった。
金環日食も皆既日食も、地球全体に比べると、その観察できる範囲は非常に狭い。同じ場所で観察できるのは、金環日食と皆既日食を合わせても340〜360年に1回しかないほどだ。
932年前と言うと西暦1080年(平安時代)だが
○1096年12月永長地震(東海・東南海地震)
- M 8〜8.5
○1099年2月康和地震(南海地震)
- M 8〜8.5
嫌な出来事を見つけてしまった。
360年前と言うと西暦1652年(江戸時代)だが
○1677年11月房総沖地震(延宝房総沖地震)
- M 8.0
○1703年12月元禄地震(元禄関東地震)
- M 8.1
○1707年12月16日(宝永4年)宝永大噴火(富士山)
等があったらしい