<AIJ問題> 監視委、金商法違反の疑いで調査

 

投資顧問会社「AIJ投資顧問」(東京都)の年金消失問題で、同社が顧客に繰り返しうその運用報告書を提出していた疑いが強いとして、証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反(虚偽の運用報告書の交付)などの疑いで本格的な調査を始めたことが26日、分かった。同法違反には刑事罰が規定されており、不透明な資産運用の実態解明を進める。

 関係者によると、AIJは金融派生商品を扱った「安定収益の確保」をうたい、中小企業の企業年金を中心に運用資産を受託。集めた資金は租税回避地の英領ケイマン諸島に登記された「私募投資信託」に流れていたことが分かった。

 金商法では投資顧問会社に半年に1度、定期的に資産の運用報告書を顧客に開示し報告することを義務づけており、報告書には主要な売買銘柄運用実績損益資産・負債の状況−−などを記載する。しかし、AIJはケイマン諸島の私募投資信託を扱った正確な運用成績や実態について、顧客に情報開示していないという。

 私募投資信託は特定投資家に販売する金融商品で、運用コストが低く金融派生商品の売買をしやすいメリットがあるとされる半面、私的信託のため秘匿性が高く、本来開示されるべき情報が閉ざされているとも言われる。

 AIJ幹部は監視委の検査に「数年前からうその報告書をつくっていた」などと証言。資産運用の実態を意図的に不透明にしたまま安定した収益を上げているように数字を偽った疑いがあるという。

 AIJは関東財務局に対しても同様にうその事業報告書を毎年提出。これについても監視委は同法違反(虚偽の事業報告書の提出)となる疑いがあるとして調べる方針。

九度山 真田の庄